【赤羽の家】オーナーインタビュー

長年空き家状態だった昭和の戸建、部分リフォームでは解決できない古さ・不便さ

 赤羽駅から徒歩7分、隣り合う戸建に挟まれるようにして建つ白壁の家。斜めにせり出したバルコニーが印象的なこの住まいは、Y 様が生まれてから小学1年生まで住んでいた生家。一家で都内の別の地域に引っ越した後、賃貸として長年貸し出していたものの、この10年ほどは空き家の状態が続き、なんとかしたいと思い悩んでいたといいます。

Y様

現状のままでは古さが目立って借り手がつかず、どうしたものかと長年思い悩んでいました。

最初に考えたのはリフォームでしたが、お風呂やトイレなど、部分的に修理しただけでは、全体的な古さは変わらない。修理費用をかけたところでそれだけの費用対効果があるとは思えなかったんです。

奥様

やっぱりすごく昭和の間取りなんですね。家の真ん中に階段があって、上がると階段を境にして壁と押入れがあり、前後に部屋がある間取り。だから2階は前の部屋は明るいのに、奥の部屋は光がまったく入らなかったんです。これではすごく住みづらいだろうなと。立地はいいのにもったいないと思い続けていましたね。

Y様

これといった解決策を見いだせないままネットであれこれ検索していたときに、「カリアゲ」を見つけ、「これだ!」と直感。

妻と「わあ、これ、いい!」と言い合って、サイトから問い合わせしたのが2020年12月でした。

その一方で、初めて家を見ていただいたときは、あまりの古さに驚くんじゃないか、本当にこの古さでも契約してもらえるだろうか、という不安もありました。

古いものは作れない、あえて “古くて少しだけ不便”を残して愛着に

2階は仕切り壁を取り去り、空間をひと続きにすることで広いLDKに。階段は中央の箱状の腰壁の中に収まっている。改修により、掃き出し窓からの光が奥まで届くようになった。
奥様

階段はとても急で、踏み板も狭くて不便だなとは思っていました。

でも私、実は意外とそれが好きだったんです。高齢になると上り下りが大変になるかもしれないけれど、若いうちはゆっくり下りたり上がったりするということが、ていねいな暮らしに結びつくんじゃないかなと。それと、模様のついたガラス窓やねじ式の鍵も大好きだったので、それらも残ったらいいなと思っていたんですね。ちょっと不便なものって、なんだか少し愛着が湧くと思うんです。新しいものはいくらでも作れるけれど、古いものは作れないですよね。だから、それらが上手く残って、引き継がれていったらいいなと思っていたら、全部生かして改修してくださった。それが本当にうれしかったですね。

木枠の窓に型板ガラス、ねじ式の鍵を残したサニタリースペース
木枠の窓に型板ガラス、ねじ式の鍵を残したサニタリースペース
2階のリビング。窓ごとに型板ガラスの模様が異なる
2階のリビング。窓ごとに型板ガラスの模様が異なる
こちらのガラスも懐かしい模様。実家に帰ってきたようなほっとする雰囲気を作り出している
こちらのガラスも懐かしい模様。実家に帰ってきたようなほっとする雰囲気を作り出している
Y様

サイトでルーヴィスさんの施工事例を見ていたときに、どの事例も室内がとても明るかったんですね。他にも、柱をあえて残していたり、大胆で面白いなあという印象がありました。こんなふうになったらいいなと思っていたものの、果たして自分のところの家がこんなふうになれるんだろうか、うちはあまりに古すぎて、間取りも昭和すぎて無理なんじゃないだろうか、という不安があったんです。

でも、出来上がってみて、本当にサイトに掲載されている事例のようなかっこいい家になった。あんなに広々と心地よい空間になるとはまったく想像もしていなかったので、驚きました。

畳敷きだった1階の和室はヘリンボーン張りの床に。シンプルな空間に美しい木目が映える
奥様

壁も元は砂壁だったのが、白壁になって明るい雰囲気になりましたし、1階の和室もヘリンボーンの床に仕上がっていて、とてもおしゃれな空間に生まれ変わりました。その一方で、階段周りの壁は合板のままにしてあるので、入居者の方が自由に壁紙を貼ることができる。ふつう、賃貸だと壁にピンを刺したり壁紙を貼ったりできないですよね。そういう気兼ねなしに入居者の方が好きな空間づくりを楽しんでくださる、と思うと、こちらもワクワクしましたね。

長年の頭痛の種だった「古い空き家」が、持ち主・借り手両方に嬉しい住まいに生まれ変わった喜び

Y様

実は、改修中に何度か様子を見に伺ったことがあったんですが、若い職人さんたちが「すごくいい住まいに生まれ変わるし、すぐに人気がでますよ!」と太鼓判を押してくれたんです。何よりも職人さんたちが、このカリアゲの改修を手がけていることがとてもうれしそうな雰囲気で作業をしていた。それが非常に印象的で、ますます出来上がりが楽しみになりました。 

奥様

出来上がった家を初めて見て、昭和のレトロなところと、令和の便利なところがまさに融合しているところに感動しました。お風呂やお手洗い、キッチンも使いやすいレイアウトに変わっていて、こんな方法があったのか!と。住む人が喜んでくださったり、楽しみながら暮らすというのはこちらも楽しい。この感動は、空き家に悩む多くの方にぜひ味わってほしいです(笑)。

Y様

カリアゲによって、古いことは必ずしもマイナスではなく、むしろ魅力のひとつであるというのはまさに発想の転換で、新鮮な驚きでした。これまで10年間ほど、お荷物でしかなかった空き家は、今や住み継がれていくのが楽しみな存在です。

カリアゲに出会っていなかったらずっと変わらずお荷物のままだっただろうと思うと、出会えて本当によかったとしみじみ思いますね。

interview_吉田タカコ