【虎ノ門のビル】オーナーインタビュー

夫とDIYしながら暮らしたこともある思い出のビル。 空室状態が続き、どうにかしたいと思っていた矢先に…

都内の超高層ビルで随一の高さを誇るビジネスタワーをはじめ、レジデンス、ホテル、おしゃれなレストランやカフェなどで構成される虎ノ門ヒルズ。

ビジネスやライフスタイルの最先端とも言えるこの巨大複合施設のすぐ目の前に、昭和らしい堅実な造りの5階建テナントビルが佇んでいます。

街の景色が激変していくなか、三世代に渡って維持してきたこのビルへの思いと、カリアゲ利用の経緯を、お問い合わせいただいたY様とそのお義母様に伺いました。

Y様

このテナントビルは夫の祖父が建てたもので、その後、義母が引き継いで管理していたんです。今でこそ目の前に虎ノ門ヒルズが建ちましたが、建てた当時はこのあたりはまるで『ALWAYS 三丁目の夕日』(昭和30年代の東京の下町を舞台にした映画)のような街並みだったそうです。

お義母様

そうそう。私は中学生の頃から10年間ほど、この界隈に住んでいたんです。うちは木工の町工場を営んでいて、お隣はお魚屋さんとお酒屋さん、通りの向こうにはお豆腐屋さんがあったりした時代でした。

結婚し、やがてこのビルを引き継ぎましたが、昔はいちばん上の階に住み込みの管理人さんがいて、お掃除をしてくれたり、お家賃を回収して持ってきていただいたりしていたんです。地下の食堂は昔からずっと入ってくださっていて、とても人気があるんですよ。それから1階の印刷屋さんも長く入っていただいてます。

私が引き継いだときに一番最初に若い弁護士さんが入居されたのはよく覚えてます。ひとりで開業するから狭くていい、とおっしゃるから3階を2つに区切って貸し出しました。あとは大阪で活動していた演歌歌手の方の東京事務所が入っていたときもありましたね。私は知らなかったけれど、当時はけっこう売れていたみたい。

 

Y様

えー! それは知らなかった(笑)。

事務所用のビルですけれど、実は私と主人とで3年間ほど住んだことがあるんです。主人がDIYが好きだったので、何もないワンフロアの床に畳を敷いたり、工事現場用のシートを何枚も吊るして間仕切り兼防寒にしたり。まるでバラックに住んでるようでしたね(笑)。5階には管理人さんが住んでいた時に設置したユニットバスがあったので、お風呂とトイレはそこを使っていました。

3年間ここに暮らした後、杉並区に引っ越したんですが、ずっと2階から上がすべて空室の状態が続いていて。「どうにかしないと」と思っていたのですが、対策にとりかかる前に主人が病に倒れ、急逝してしまったのです。

硬い床に畳を敷き、シートで間仕切りしながら夫婦で暮らした思い出の4階は、無垢フローリングの明るい空間に

テナントビルを相続することになって初めて相続税のしくみを知り、空室対策のために改修を決意

Y様

祖父の代からの物件を引き継ぎ、空室をどうにかしなければと思いながらも、何もできないうちに主人は突然亡くなりました。

ことばで言い尽くせない悲しみの中にありながらも、現実として相続の手続きをしなければなりません。その段になって、賃貸物件を相続するには、空室があるとその分相続税が増えてしまうということを知ったのです。

それで、早く空室をなくさなければ、とネットで対策方法をあれこれ検索しているうちにルーヴィスのサイトを見つけました。

なんとか満室にしなければ、と思っても、最初は何をどうしたらいいのかまったくわからなかったので、とりあえず「古ビル 賃貸」といったキーワードで検索していました。

でもそれでは欲しい情報はまったく得られなかったので、次に「リノベ」で検索すると、ルーヴィス のサイトに行き当たりました。そのときは「カリアゲ」のしくみもまったく知らなくて、とにかくサイトを何度もくまなく見たんです。社長さんのインタビューなんかも全部読みました。そして「ああ、すごくいい感じの改修だな」と。そこからカリアゲを知り、「こんなしくみで改修して借り上げてくれるんだ、これはいい」となったんです。

決め手は古さを生かしたリノベーションのセンスと、 改修から賃貸管理・メンテナンスまですべてまかせられること

Y様

古いので、水回りがかなり傷んでいたんです。特に2階はトイレもずっと使っていなかったり、そういうところでなかなか入居が決まらなかったのかなと。なので、上下水道はしっかりきれいになるといいなとは思っていました。

でも、改修して、そこから賃貸しなければいけないし、メンテナンスもしていかなければいけない。カリアゲはそれらをまるまるお任せできるところが本当にいいなと思ったんです。

お義母様

とにかくどうしていいのかわからなかったんですよね。業者さんも知らないし、何をどこから手をつけたらいいのかと。

壊れて使えなかった2階のトイレは、シンプルで快適な空間に一新された
壊れて使えなかった2階のトイレは、シンプルで快適な空間に一新された
4階は壁一面の可動棚で木のぬくもりあふれる空間に
4階は壁一面の可動棚で木のぬくもりあふれる空間に
Y様

改修後を初めて見たときは、「こんなに明るくてきれいになるんだ!」と驚きました。

階段が水色に塗り替えられていて、既存の手すりの木の感じとよく合っていましたし、3,4階は無垢のフローリングがあたたかい雰囲気で。

2階は何も置かれていない状態のときに見ましたが、家具が入るとまた素敵に見えますね。

2階は現しにしたコンクリートを生かし、無骨な雰囲気に。
2階は現しにしたコンクリートを生かし、無骨な雰囲気に。
Y様とお義母様が共に気に入っているという、淡い水色の塗装を施した階段。既存の木の手すりが懐かしい
Y様とお義母様が共に気に入っているという、淡い水色の塗装を施した階段。既存の木の手すりが懐かしい
Y様

改修が完了して募集を開始したのがちょうど新型コロナの流行真っ只中でオフィスの需要が減ってきたタイミングだったので、大丈夫かなと心配していたのですが、全フロアとも入居していただくことができました。カリアゲは、空室の場合でも賃料率は保証されていますけど、やっぱり入居していただいたほうが安心しますから(笑)。

 

外観は元のままですが、中は本当に明るくておしゃれな空間になり、ルーヴィスさんに出会えて本当によかったと実感しています。

主人のおじいさまが建て、昭和の時代を経て、主人と私も不便さを楽しみながら住んだ思い出深いビルを、懐かしさを生かしながら生まれ変わらせることができました。

虎ノ門ヒルズと道路をはさんだこちら側のブロックもいつかは再開発で変わっていくと思いますが、可能な限り、昔の面影を大切に継いでいきたいですね。

interview_吉田タカコ