築70年の空き家が、子育て世帯の住まいに。 東京都補助金×カリアゲで実現した「三方良し」の事例

東京都には、活用されていない空き家を改修し、住宅政策の課題解決につながる用途で再生する事業者を支援する仕組みがある。「政策課題解決型空き家活用支援事業」がそれだ。民間事業者が、主に戸建ての空き家を改修する費用について都が財政支援することで、空き家活用を促進する事業として実施されてきた。

 

カリアゲはこの事業に応募・採択され、「王子の家」として実現した。築70年以上の木造戸建てが、子育て世帯の安心できる住まいとして生まれ変わった事例を紹介したい。

 

※ なお、この事業は令和6年度をもって募集を終了している。現在は後継的な位置づけの「東京都空き家ポテンシャル発掘支援事業」が実施されており、記事末尾で補足する。



◎ 物件の状況

王子の家は、築70年以上の木造戸建て。長年空き家として放置されており、建物の老朽化が進んでいた。オーナー自身での改修・活用は費用面でも手間の面でも難しい状況だった。

 

こうした物件はカリアゲの相談として多く寄せられるパターンに近い。「ひとりでは対応が難しく、なかなか手をつけられずに年月が経ってしまった」という声が象徴するように、決断できないまま時間だけが経過してしまうケースは少なくない。

◎ カリアゲ+東京都補助金の組み合わせ

通常のカリアゲは、ルーヴィスが改修費用を全額負担して空き家を再生し、6〜10年間転貸運用するサービスだ。今回はさらに、東京都の補助金を活用することで、耐震補強・屋根・外壁の改修まで含めた大規模な再生が可能になった。

 

「政策課題解決型空き家活用支援事業」は、空き家を東京ささエール住宅へ改修する取組み、子育て世帯向け住宅へ改修する取組み、居場所づくりのための施設へ改修する取組み、都市の活性化・魅力化につながる用途へ改修する取組みなどを対象に、改修費用を都が支援する仕組みだった。王子の家は、このうち子育て世帯向け住宅への改修にあたる。

 

オーナーの自己負担はゼロのまま、築70年の建物が安全・安心な住まいに生まれ変わった。

 

補助金を活用するには条件があり、すべての物件・オーナーに当てはまるわけではないが、こうした組み合わせが成立するケースもあるということを知っておくと、選択肢が広がるかもしれない。



◎ 空き家オーナー・入居者・地域、三方への効果

この事例が興味深いのは、関わる三者それぞれに効果があった点だ。

 

空き家オーナーへの効果

費用負担なしで空き家が再生され、保証賃料の収入が入るようになった。長年の悩みに決着がついたという意味での効果も大きい。

 

子育て世帯への効果

相場より3割低い家賃で、リノベーション済みの一戸建てに住むことができた。古さを活かしたデザインと、子育てしやすい空間が実現している。

 

地域・社会への効果

放置されていた空き家がなくなり、地域の景観と安全性が改善された。税金(補助金)を活用しながら、空き家問題・子育て世帯の住まい不足・地域活性化という複数の課題に同時に対応できた取り組みだといえる。



◎ 東京都の補助金は、今も活用できるか

「政策課題解決型空き家活用支援事業」は、令和6年度をもって募集を終了している。王子の家のように、この事業を直接利用した形での新たな採択は、現時点では難しい。

 

ただし、東京都は空き家活用を支援する事業そのものをやめたわけではない。現在は「東京都空き家ポテンシャル発掘支援事業」という事業が実施されている。区市町村と連携しながら、空き家を地域資源として活用し、地域課題の解決や活力向上に取り組む民間事業者を支援する仕組みで、移住・定住促進やセーフティネット住宅の供給といった住宅施策課題の解決を目的にしている。補助対象は改修工事費で、補助率2/3、補助金額は1棟あたり250万円。耐震改修を行う場合はさらに200万円を上限に上乗せされる。

 

こうした補助金の制度は年度ごとに内容や募集期間が変わる。現時点でどの制度が利用できるかは、東京都住宅政策本部のサイトや自治体の窓口で確認するのが確実だ。

 

「補助金のことはよく分からない」という方も、まずはカリアゲへの相談の中でご確認いただくことも可能だ。物件の状況と合わせて、活用できる制度があるかどうかを一緒に考えられる。